シグマがCP+ 2021を前にレンズ新製品を発表しました。登場したのは「28-70mm F2.8 DG DN | Contemporary」。F2.8通しの標準ズームレンズながらコンパクトで、11万円というこのクラスとしては安価な価格が魅力です。

F2.8通しの標準ズームといえば、同社にはすでに「24-70mm F2.8 DG DN | Art」があります。比較すると以下のようなスペックの違いがあります。
28-70mm F2.8 DG DN | 24-70mm F2.8 DG DN | |
レンズ構成 | 12群16枚(FLD2枚、SDL2枚、非球面レンズ3枚) | 15群19枚(FLD6枚、SLD2枚、非球面レンズ3枚) |
焦点距離(35mm判換算) | 28-70mm | 24-70mm |
画角 | 75.4-34.3度 | 84.1-34.3度 |
開放絞り | F2.8 | F2.8 |
最小絞り | F22 | F22 |
最短撮影距離 | 19-38cm | 18-38cm |
最大撮影倍率 | 1:3.3-1:4.6 | 1:2.9-1:4.5 |
フィルター径 | φ67mm | φ82mm |
絞り羽根枚数 | 9枚円形絞り | 11枚円形絞り |
最大径×長さ | φ72.2mm×101.5mm | φ87.8mm×122.9mm |
重さ | 470g | 835g |
価格 | 110,000円 | 148,500円 |
28-70mm F2.8 DG DNのサイズ感としては、F4通しのズームレンズ「LUMIX S PRO 16-35mm F4」と同じぐらいです(99.6mm・500g)。これはコンパクト。しかもF2.8通しというのが驚きです。


同社の山木社長曰く、ワイド側の焦点距離を24mmから28mmにしたことでコンパクトになったとしています。24mmと28mmの差は意外に大きいものです。そして広角になるほどレンズは大きくなりがちです。これを抑えることでコンパクトに収めた、というわけです。

軽量化に関しては、レンズ構成の違いに加え、TSC(耐熱性複合材)をプラスチック材料として、主要部品の大部分に使用したことが効いているようです。ただ、ビルドクオリティには一切妥協をしていないそうです。
このほか、24-70mm F2.8 DG DNと比べて、防塵防滴機構やAFロックボタン、ズームロックスイッチが搭載されていない点も違いでしょう。
画質にもこだわっているようで、24-70mm F2.8 DG DNに匹敵する光学性能でを目指したそうです。光学設計者が同じで、似たレンズ構成、光学設計を行い、その結果、MTF曲線でも似通ったグラフになり、高い光学性能を実現した、としています。
もちろん、いつもの「ゴーストバスターズ」も参戦。ナノポーラスコーティングを使用して、ゴーストとフレアを防止しているそうです。
実のところ、価格的には24-70mm F2.8 DG DNも実売12万円程度まで落ちてきています。価格差はそれほどではないので、ポイントはサイズと画角、使用用途ということになりそうです。

個人的には、SIGMA fpではサイズを最重視したいと考えています。その意味で約2cm短く、約360g軽いという28-70mm F2.8 DG DNは魅力的です。単焦点だけでブラブラというスタンスだったのですが、やはりズームレンズの便利さは強み。現在は行けませんが、旅行先でレンズ交換しづらい状況だと特に威力を発揮します。旅行先で町をぶらつくときは28-70mm F2.8 DG DN、屋内に入ったら単焦点を使い分ける、といった使い方も良さそうです。
個人的には、せっかくIシリーズで導入したマグネット式メタルキャップもあればなあと思ったのですが、Iシリーズではないからでしょうか。採用されていないようです。

そうなると、まだ手に入れていなかった「24mm F3.5 DG DN」は焦点距離も被らないし、なかなかうまい位置づけです。続きの焦点距離として、スペックの割にコンパクトな「LUMIX S 70-300 mm F4.5-5.6 MACRO O.I.S.」も欲しくなりそうです。全くうまいもんです。
いずれにしても、私の使い方にはベストフィットのレンズと言えそうです。LUMIX S PRO 16-35mm F4も気になる存在ですが、価格がまだ高め。私の目的からすると一番のライバルになりそうなのが「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」でしょう。
28-70mm F2.8 DG DN | 24-70mm F2.8 DG DN | LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6 | |
レンズ構成 | 12群16枚(FLD2枚、SDL2枚、非球面レンズ3枚) | 15群19枚(FLD6枚、SLD2枚、非球面レンズ3枚) | 9群11枚(非球面レンズ2枚、ED3枚、UHR1枚) |
焦点距離(35mm判換算) | 28-70mm | 24-70mm | 20-60mm |
画角 | 75.4-34.3度 | 84.1-34.3度 | 94-40度 |
開放絞り | F2.8 | F2.8 | F3.5-F5.6 |
最小絞り | F22 | F22 | F22 |
最短撮影距離 | 19-38cm | 18-38cm | 15-40cm |
最大撮影倍率 | 1:3.3-1:4.6 | 1:2.9-1:4.5 | 1:2.33 |
フィルター径 | φ67mm | φ82mm | φ67mm |
絞り羽根枚数 | 9枚円形絞り | 11枚円形絞り | 9枚円形絞り |
最大径×長さ | φ72.2mm×101.5mm | φ87.8mm×122.9mm | Φ77.4mm×約87.2mm |
重さ | 470g | 835g | 350g |
価格 | 110,000円 | 148,500円 | 81,400円 |
最も広角ながら望遠側が少し弱いLUMIX S 20-60mm F3.5-5.6。しかし、28-70mm F2.8 DG DNよりさらにコンパクトで軽い、そして値段も手ごろ。これ1本でいろいろまかなえますが、開放F値の暗さが難点でしょうか。そうなると……いやはや、「困ってしまうなあ」というのが正直なところです。