2016/06/13 22:39追記
久しぶりにVodafoneイタリアのサイトをチェックしたところ、Smart Passportの内容が変更されていました。なので、以下の内容は少し変化しています。
「欧州最強SIM」と名高いVodafoneイタリアのプリペイドSIM。「最強」と呼ばれる所以は、1日3ユーロだけで、欧州内の多くの国でローミング利用できるからです。イタリア時間の0~24時までの間、データ通信なら500MB200MB1までが3ユーロの定額で利用できる2ため、その国でプリペイドSIMを買うまでの間のつなぎとして利用してもいいですし、飛行機の乗り換えで数時間利用したいという場合も、3ユーロならば大きな負担になりません。
このSmart Passportが、VodafoneイタリアのプリペイドSIMを最強たらしめている機能です。基本的にはイタリアで購入する形になりますが、海外通販系では買えるかもしれません。私はミラノ万博の取材でイタリアに行く機会があったので、そこで購入しました。とても便利で役に立つSIMですが、色々と落とし穴があったのです。
自動更新のワナ
VodafoneイタリアのSIMは、まずはイタリア国内で使うために、マルペンサ国際空港(MXP)で購入しました。ネットでは売ってないという情報もありましたが、2015年8月の段階では、空港の両替所で購入することができました。この時、購入できるプランは「Vodafone Holiday」(29ユーロ)の1種類しかないようです。市内のVodafoneショップでも同様のようなので、プリペイドプランは1種類だけなのかもしれません。オプションとしてSmart Passportも自動的に設定されています。Smart Passportは利用しなければ料金は発生しません。
この時、イタリア国内で使う分にはSmart Passportは使うことはなく、最初に購入したプリペイドSIMのデータを使えばいいのですが、このVodafone Holidayプランは「自動更新」となっています。最初の購入時に、Smart Passportの利用を想定して多めにチャージしていると、イタリア国外に出た後も、翌月に料金が自動的に引き落とされてしまいます。
しかも、残高がなくなるとチャージが0になるのではなく、「マイナス」になるのです。改めて使いたい場合は、このマイナス分をすべて支払った上で使わなければなりません。
自動更新をさせないためには、月が変わる前にVodafoneイタリアのサイトでユーザー登録をして、ユーザーページから自動更新をオフにします。Vodafoneイタリアのサイトはすべてイタリア語のみなのでハードルは高いのですが、Google翻訳などを駆使してオフにします。
ちなみに私はこれでマイナス30ユーロに達しました……。
ひたすらローミングのワナ
イタリア国外に出たら、データローミングをオンにします。Smart Passportの利用設定はこれだけです。接続したキャリアも問わず、対応する国であれば1日3ユーロで500MB200MB3までのデータ通信が利用できます。安心感もありますし、どの国でも、到着した瞬間からネットが利用できるというのは快適です。
欧州内の対応国においては、特別注意することはありません。チャージ金額として1日3ユーロ分が残っている必要がありますが、それさえ忘れなければ、LTE通信にもテザリングにも対応しているので、ほとんど現地SIMと同じように利用できます。
これもワナと言えばワナですが、ここで言う「1日」は「イタリア時間」です。欧州内ではそれほど差はないですが、それでも1時間ずれているのを忘れると、うっかり翌日になって新たに課金されてしまいます。
そう、このSmart Passportも「自動更新」なのです。放っておくと、毎日3ユーロずつ課金されてしまいます。といって、「データローミングをオフにする」だけでは、ダメなのです。どうも、電波を受信しているだけでSmart Passportの利用が開始されてしまうようで、何日か実験しましたが、Smart Passportオプション自体をオフにするか、SIMを抜いてしまうのが一番良さそうです。
逆に言えば、SIMを抜き忘れて電源を入れっぱなしにしていると、これもひたすら課金されてしまいますので注意が必要です。
アメリカのワナ
このSmart Passport、対象国は欧州を中心とした45カ国と地域42の国と地域4のようです。以下の表は、Vodafoneイタリアから転載したものですが、イタリア語をGoogle翻訳経由で日本語にしているため、あっているのかいまいち分かりません。知らない国もいくつかあって、なかなかピンときませんが、少なくとも欧州の広い範囲をカバーしているのは間違いないでしょう。
アルバニア
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オーストリア
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ベルギー
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ブルガリア |
キプロス
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クロアチア
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デンマーク
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エストニア
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フィンランド
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フランス
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ドイツ
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ジブラルタル
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イギリス
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ギリシャ |
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ガーンジー
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ガイアナ
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アイルランド
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アイスランド
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マン島 |
フェロー諸島
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ジャージー
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ラトビア
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リヒテンシュタイン
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リトアニア
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ルクセンブルク
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マルタ
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ノルウェー
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オランダ
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ポーランド
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ポルトガル
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チェコ
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レユニオン
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ルーマニア
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スロバキア
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スロベニア
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スペイン
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スウェーデン
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スイス
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トルコ
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ハンガリー
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フレンチカリビアン10
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モナコ公国11 |
そして、この4542カ国に加えて、北米とカナダ12も1日3ユーロのSmart Passport対象国になっています。Vodafoneイタリアのサイト自身も表記がぶれているのですが、2016年1月末までの期間限定という表示と、通常の対象国となったという表記の2つがありますので、2016年1月の段階ではまだどうなるのか分かりません。Vodafoneイタリアのサイトでは、アメリカとモナコ公国は「2016/6/26まで」プロモーションとしてSmart Passportの対象、というような表記に変わっています。
いずれにしても、現時点で米国は対象国になっており、2015年12月31日に訪米したのでSmart Passportのローミングを試してみました。付いてスマホの電源を入れると、すぐにローミングとして接続し、問題なく通信が可能です。LTEもつかむようで、欧州での利用と全く違いはないようです。
……と思っていたところにワナがありました。
欧州と同様にテザリングでほかの端末もつないで通信していたのですが、しばらくしてSMSが届き、「チャージがなくなった」という表示。確かに、テザリングしている端末で通信ができなくなっています。ところが、VodafoneイタリアのSIMを入れたスマホはそのまま通信ができています
Vodafoneイタリアのマイページを確認すると、20ユーロ入れていたはずのチャージが0になっています。
どうやら、米国(カナダも?)はテザリングは従量制になるようです。そのため、テザリングでの通信でチャージした残高が消費されたものの、1日3ユーロの定額は維持されており、それはそのまま通信できていた、ということだと思われます。
実のところ、きちんと検証したわけではないため、このあたりがどうなっているのか、よく分かりません。Vodafoneイタリアのサイトにはテザリング非対応の表示もありますが、欧州では定額内でテザリングもできていました。
サイトには、「米国とカナダでは500MBに達して以降は1MBあたり50セント」という表記13もありますが、今回は500MBにそもそも達していません。テザリング分が超過分として算定されたのかもしれません。ちなみに、ほかの対象国の場合は超過すると32kbpsに速度低下するだけです。
結局、今回残高が0になった理由は分からずじまい。テザリングのせいと考えれば一番つじつまが合いますので、米国で利用する際はテザリングに注意して下さい。
……というわけで、ここで20ユーロを溶かしてしまいました。
結論
ここまで見てきたとおり、VodafoneイタリアのSIMにはいくつかのワナが潜んでいます。とはいえ、1日3ユーロで500MB200MB14のデータ通信が欧米で使えるというSmart Passportは、ほかにはない得がたい特徴です。Vodafoneアイルランドにも近いプランがありますが、価格と容量を考えると、Vodafoneイタリアに軍配が上がるでしょう。15
欧州では、2017年6月ごろからローミング料金が撤廃されることになっており、16年4月にはローミング料金が値下げされます。とはいえ、これはある国のSIMの料金プランのまま、他の国でも利用できる、というものであり、そもそも欧州のSIMを持っている必要があり、その料金プランがそのまま適用されます。
つまり、1日あたり3ユーロで500MB200MB16の料金より高いプランであれば、ローミング料金撤廃とは関係なく、VodafoneイタリアのSmart Passportの方が安くなります。むしろ、Smart Passport値下げの可能性もあります(なさそうな気はしていますが)。
さらに、米国のように欧州以外の国でも使えるというメリットもあり、今後を含めても、やはりVodafoneイタリアの「最強SIM」の座は揺るぎないものだと思います。
……50ユーロも溶かしてますけどね。
おまけ
以下のおまけは、ごっそり記述がなくなっているため、サービスとしてなくなったようです。
ちなみに、Smart Passportには欧米以外の国でも、1日6ユーロで30MBまで利用できるようになっています。こちらに関しては容量は少ないですが、公式にテザリングもOKとなっています。
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日本を含む、かなり広範囲の主要国をカバーしているという印象です。値段が倍になり、容量は30MBとかなり少なくなっていますが、緊急用途としては利用できるかもしれません。